僕のレテパシーズ インタビュー

僕のレテパシーズ
【L→R寺中四(ベース)鈴木亜沙美(ドラム)古宮大志(ボーカル)はなえもん(ギター)ユキコトーキョー(キーボード)

本当の僕のレテパシーズを知っている人は誰もいないんじゃないか。
今回取材をして、そう思った。
何故ならまだ何も始まっていないから。

結成から5年、このメンバーになってから半年。
6月3日にリリースされる1stアルバム『僕を殺せるのは僕だけさ』で
僕のレテパシーズは始まりを告げる。
                                        


やっと始まった感じ。これからなんじゃないですかね。
ずっと喋った方が早いじゃんって思ってた。
今は楽器があって、このバンドだから出来ることがあるってわかってきた。

- 僕のレテパシーズ結成の経緯から聞かせて頂けますか?

古宮:ずっと17歳位から札幌で弾き語りやっていて、東京へ来てからもソロでやっていて、バンドをやるっていう考え方はなかったんだけど、現状が本当に一人もお客さんが来ないとか、そういう感じでやってたから何か変えなきゃなとは思っていて。でもそれまで一度もやったことなかったから。

- その時何歳でしたか?

古宮:27歳とか。

- じゃあ10年間はずっと一人?

古宮:そう、全くやったことなかった。集団行動が嫌いで(笑)。

- (笑)

古宮:ギターが入ってベースが入ってってなると制約が生まれるでしょ?それが絶対に出来なかった。一人なら曲の途中でスピード変えたりギター置いたり色々出来るんですけど、バンドだと無理じゃないですか。だから全然違うもので、やるって発想がなかったんですよね。で、ちょうどその頃に周りの年下のバンドの人達が「バンドやった方がいいですよ。僕ギターやりますよ」「ベースやりますよ」って言ってきてくれて。じゃあ、やってみようかなって約束して、スタジオの日まで決めてたんですよ。でも約束にベースの子しか来なかったんですよ。

- 初めてのバンドで最初がそれって結構ショックですよね。

古宮:ショックショック。まぁTHEラブ人間の金田が昔ドラムやってて「叩きたい」って言ったんですけどね。

- (笑)

古宮:でもその時に僕のレテパシーズっていうバンド名だけ考えたんですよ。それがきっかけでやりたいなって気持ちは残ったんですよね。それでギター、ベース、ドラム、キーボードを集めてやった。

- 最初からその編成だったんですね。

古宮:そう。当時は音のこととか全然考えてなくて、単純にザ・ハイロウズが好きだったので同じ編成にしただけ。

- (笑)。弾き語りの期間が10年あって、初めてバンドをやるってかなり珍しい経歴ですね。北海道は路上の弾き語りの方が多くいる場所もあると思うのですが、そういう所でやっていたんですか?

古宮:やってないです。ソロがガットギターと歌だったんですけど、パッと鳴らした後の無音状態も一緒に、響かせることが出来る。そういうことが自分の中ではピンと来ていて、バンドだと音がずっと鳴っているし、外も色んな音がするじゃないですか。それでやらなかったんじゃないかな。やったことないからわかんないけど(笑)邪魔じゃない?だから飲食のあるカフェとかも苦手かも。

- あぁ、なるほど。では最初からライブハウスでやられてたんですね。そこからバンドとして活動後、メンバーさんも何度か変わっていますね。

古宮:ドラムが今のメンバーの鈴木さんになって、2013年の11月にアルバム『ぴりぴりのファースト』を出して、どんどんやっていこうってなったんです。その時初めてバンドの音とかを考えて。それまでアレンジとかも考えたことなかったから、ただ歌に音が乗ってるだけだったんですよね。それで2月位にワンマンあったから頑張って練習してやったんですけど、その時に色々話し合って、バンドが解体して。

- そこでもう一回立て直しになったんですね。

古宮:そう。で、ちょうどひらくドアが解散したから、寺中四さんに声かけて、その後にやっぱり鍵盤いるなってユキコトーキョーに声かけた。はなえもんは噂には聞いてたんですよ、凄い子がいるって。それで一度会って話してみて、まぁちょっと変わってるとこあるけどいい子だったから、一度やってみましょうってスタジオ入ったらすげぇ下手で、どうしようかなって思ったけど、1週間ごとに良くなるから、彼女5年位バンドやってなかったみたいで、それでライブしたら凄く良くて、おっ!ってなって、今に至るかな。本当にここ最近2、3回で自分も含め良くなってきて、ようやくスタートになった感じなんですよね。間違っているってわけじゃないけど、違うなってことが何個かあって。歌うのも変わってきたんですよ。

- バンドとしても今のメンバーになって少し経って、固まってきたところもあるんですかね。

古宮:うん、それもある。どうしても俺が中心にはなるから、俺の考え方が凄く変わって。何て言ったらいいんだろうな…まぁ自然と導かれてる感じなんですけどね(笑)。

- バンドが解体した時に、バンドを新しくすることも出来たと思うんですが、それをしなかったのは何故なんですか?

古宮:俺は変えようと思ったんですよ。でもメンバーの大多数がこのままがいいって。少し名前が知られてるから活動し易いとかっていう理由だとは思うんだけど。あともっといいバンド名あるの?って言われたけど、思いつかなかった(笑)。

- 現在のメンバーさんはそれぞれ個性的で華があっていいプレイヤーですよね。4人のことを少し紹介して頂けますか?

古宮:一番付き合い長いのはドラムの鈴木亜沙美で。あっ!嘘ついた。札幌にいた時に1年くらいバンドやったことがあった(笑)。その時に別のバンドにいた彼女のドラムが凄い良くて、「一緒にバンドやろうよ」って誘ったんだけど断られて。それからことあるごとにオファーしていて、だからレテパシーズ始めた時にもオファーしたし、2回ドラム抜けてるけど、2回ともオファーして。最後オファーした時にまだ彼女は札幌で、来たい意思はあるんだけど生活的に無理だって言うから、「じゃあ俺が引っ越すから、俺のアパート来ていいから引っ越して来てよ」って。

- 凄いですね。鈴木さんのドラムに惚れ込んでって感じなんですね。

古宮:そうそう。でもパッと見た時に印象として、イカレてんなって感じが好きだったんだと思う。あの子が叩いてるドラムがどういうものでっていうのが、この1、2ヶ月で分かったと思う。最初は本当に叩いてるときの目つきが好きだっただけ(笑)。



- (笑)。ユキコトーキョーさんは?

古宮:一昨日くらいに解散したずぶぬれシアターっていうのでも弾いてて、ピアノの先生もしている。最初はいわゆる女の子のキーボーディストですって感じの印象だったけど、徐々にいいピアノを弾くようになるのを見てきたんで、今回のバンドになる時に声をかけましたね。

- はなえもんさんは?

古宮:出会いはさっき言ったような感じで、はなえもんは一番好きなのがGOING STEADYらしいんですよ。で、前のCD出した時もその前のを出した時もCD屋のポップに「これを好きな人は聞いて」って書かれたりとか、同じ試聴機とかに絶対にGOING STEADYや銀杏BOYZが入っていて。僕らを好きな人にもやっぱり好きな人多くて。でも僕は聴いたことがないんですよ。世代じゃないし、俺2000年以降はもう音楽ほとんど聴いてなかったから。でも凄く多いんですよね。だから何かあるんでしょうね。それ以外何もない、全てを見せてくれるのが、はなえもんのギターっていうか、そこに感動するのかなって。レテパシーズ好きとかGOING STEADY好きとかってそういう感じなのかなと。命懸けな感じというか。


- 寺中さんは?

古宮:バンドを見ていてあんまり「いいベースだな」とか思わないんだけど、寺中さんはひらくドア見た時にベースいいなって思ったから、いいベーシストのリストに入ってて。今回ベーシストを探す時に一番に出た。

- 今回の6/3にリリースされるアルバム『僕を殺せるのは僕だけさ』が5人全員の良さが凄く出ているものだったので、さっき仰ってた、前まではアレンジとかバンドのこと全然考えてなかったっていうのは驚きました。

古宮:あぁ、そうそう。今回のは出ましたよね。

- ちゃんと全部の音に意識がいくし、その中心にきちんと歌があって、凄くいいアルバムだなと思いました。

古宮:なかなかないですよね、こういうの。たまたま今日家で高校生の時に聴いていたCDを聴いたんだけど、ボーカル以外聴いていなかったから、他の人はあのギターがいいよねとかあるんだと思うんだけど、初めてギターはこういうこと弾いてたんだって思った。

- (笑)。本当に歌だけを聴いてたんですね。それで自分も歌いたいってなったんですか?

古宮:いや、歌いたいっていうのはなくて、元々サックスが好きで、アルトサックス吹いてたんですよ。でもその後に歌えるようになったから歌い出した。歌いたいからとかじゃなくて、歌が出来るからやったって感じだと思うんだよな。

- 曲はどうやって作ってたんですか?ギターとかは?

古宮:その頃はギターも出来ないんでアカペラです。でもそれは今でもそうですよ。こうやって話してる時とかに浮かんだら「ちょっと失礼」って録音して。作ろうとして作ったことは一度もない。出来るの待ち。だから1年出来なかったりしても不安とかは全く無い。

- えっ(笑)?本当ですか?

古宮:だって俺、一番新しいのが今回のCDの1曲目の『17』って曲で。去年の秋くらいに出来て、それから1曲もないです。

- そうなんですね。でも曲はいっぱいありますよね。
古宮:そう、それが17歳からやってるから、バンドでやってないものでも今「歌え」って言われたら、歌える曲が100曲位はあると思うんですよ。でも17歳から今まで15年で100曲って言ったら、1年に10曲もないから、多分少ないんじゃないですか。でももう今7枚目のアルバムまで決めていて、もう直ぐに2枚目もレコーディングする。

- 構想は先まで決まっているんですね。今回の作品はどういうものを作ろうと思っていましたか?

古宮:いや、何も考えてないかな。

- ではどういう感じで作っていかれたんですか?どの曲を入れるとかは古宮さんが?

古宮:どうだったかなぁ?みんなに聞いたかな。ただ『17』は新しい曲だったんで、それは入れようと思ってた。

- 前の音源と同じ曲も入っていたりするのですか?

古宮:5曲目だけ一緒ですね。一番最初のライブ音源にはほとんど入ってるかな。8曲目の『やさしい人』と『17』以外は入っていますね。アレンジとかは全然違うけど。曲順を作るのが結構好きで、レコーディング前に曲順は決まっていて、だからこの曲はこういうアレンジでとかは考えてたかな。

- 1stアルバムだから、こういうものにしたいとかはありましたか?
古宮:あぁー、それはメンバーと話してはないけど、僕は7枚目まで曲順決めてるからありますね。はなえもんとか特に、まぁ俺も歌下手だけど、これから変わっていくと思うから、今のバンドの雰囲気でも出来るかなって曲を1枚目にしていて、1年半後とかにやったら良いかなっていうのを4枚目とかにしてる。

- バンドの成長と共にって事ですね。7枚っていうのは何故なんですか?

古宮:自分のソロでやっている歌を見て、今の段階でバンドでイメージ出来るのが70曲位で、あとの30曲はわざわざバンドでやらなくてもいいんじゃないかなって思った。

- 一番新しいという『17』はどんな感じで作った曲ですか?

古宮:これは去年の11月とかだと思うんだけど、高校生の時の彼女から凄く久々にメールが来て、その後何日間か高校時代のことを思い出してたら出来ました。

- この曲や『君とスピッツ』は聞いていて、具体的な光景が浮かぶ曲だと思うのですが、実体験から出来ているんですか?

古宮:実体験から出来てる…はい、多分全部そうです。考えたことないけど。

- HPにある歌詞を読んでいて、過去の体験から出来ている曲が多いような気がして

古宮:多分それが多いとしたら、よし!作ろう!って作ってなくて、元々あるものが歌になってるからなんじゃないかな。こういうことを歌おうとかじゃなくて、自分の中に確実にあるものから自然と出来てる。

- なるほど。曲が出てくる時は歌詞も一緒ですか?

古宮:そうですね。大体一緒に出来てきて、昔は最初から最後までだーっと出来てたことが多かった気がするけど、今は1番が出来て、そっから30分後に2番が出来たりするようになったかな。でも出来てる時はあんまり意識がない。もしかしたら作ってる間に何日か経ってるかもしれないけど、一行動の中で出来てる感じ。書き直したりは絶対しないです。

- 過去に作った歌を歌う時に今とは気持ちが違うなっていうことはあったりしますか?

古宮:いや、ないですね。どっちかって言うと、歌の元に自分がちゃんといきだしたのがここ1、2ヶ月だから、改めてその歌に会ってる感じはしますね。久しぶりに会ったみたいな感じでは歌えてるっていうか。意見ではないから、同じ人の歌だし、言ってること違くても、俺の中の愛のようなものは一緒っていうか。作ったものっていう感じじゃないんだよね(笑)。もちろん自分のものではあるんだけど。

- 凄く自然に出来ているんですね。

古宮:そう。生きてたら勝手に出来てる。

- 『17』の歌詞に”あなたの絵”って出てきますが、あれは具体的にどなたかの絵ですか?

古宮:あれはゴッホの絵ですね。

- 『ロマンチック』でもセザンヌが出てきたので絵画が好きなのかなって。

古宮:あぁ、セザンヌはよくわかんないですけど(笑)ゴッホは好きですね。

- 『ロマンチック』は面白い視点の曲ですね。

古宮:まぁ酔っぱらってたんでしょうけど、昔働いていたお店でお客さんと喧嘩になったことがあって。海に空き缶が落ちていて、俺の「拾えばいいってもんじゃないよ」って意見に対して、酔っぱらいの「いやいや、拾った方がいいよ」っていうことがあって、それで出来たんじゃないかな。


- 本当はどっちの方がいいのかって曲ですよね。あとは5曲目もインパクトのある曲ですね。

古宮:これはタイトル変わったんですよ。寺中さんが『精神障害者は天使 ちほう老人は神様』に変えたいって言って。タイトル変えるなんて考えられないなって思ってたんですけど、確かに『SFマンボ』は結構適当につけたんですね。SFが好きで、マンボは語呂がいいからで。「何でこのタイトルなの?」って言われて、「あんまり意味ない」って言ったら、「じゃあ変えたい」って。

      

- これも実際の経験から?

古宮:多分、精神障害者とかちほう老人と接してる時に出来たんじゃないかな。

- 2曲目『ロックンロールじゃ踊れない』とか9曲目『海へ行こうよ』は、音楽そのものやバンドで演奏する楽しさの出ている楽曲だなと思ったのですが、バンドでのアレンジはどこまで指示されてるのですか?

古宮:特別アレンジをどうしてとは言わないんですけど、まずスタジオで俺が歌って聞いてもらって、「こういう歌なんだけどどうしよう?」って。あんまり各楽器にこういうことやってとは言わないですね。ただ小学校の時に吹奏楽をやってたから、漠然と全体をどうしたいっていうのはあるから、それは言います。


- 7曲目『君しかいない』の長いアウトロも凄く美しくていいですよね。前のメンバーでも演奏していた曲もあると思うのですが、その辺りは変えたりしているのですか?

古宮:結構それは邪魔だったりしますよね。先入観があるから、ある程度出来てるものを無理に変えてもっていうのもあるし、今のメンバーでやり直した方がいいねっていうのもあるし。そこは何度も何度もスタジオでやりますね。でも俺の曲は複雑じゃないから、構成までは変えてないけど、スピードとか同じ構成の中で細かいところをどうするかっていう感じですね。あと今の4人は凄くミュージシャンなんですよ。ベーシストだし、ドラマーだし、ギタリストだし、キーボーディストだし。でも俺は今クォーターくらいなんですよ。

- (笑)

古宮:4分の1くらいボーカルになれてきたから、この4人に比べると全然人間なんですよ。

- (笑)。でもイメージは違いますよね。曲作ってるし、ライブの感じとかも見てたら、凄くミュージシャンっぽいですよ。

古宮:そうですか(笑)。でも周りの奴の方が馬鹿ですよ。ミュージシャンだから、それ以外のことが全然出来ない(笑)。

- あぁそういうことですか(笑)。

古宮:まぁそういうのも含めて。だから音楽のことは任してますね。

- それから1曲がとても短いですよね。

古宮:大分長くなったと思うんですけどね。

- そうなんですね。でもアルバム10曲で30分位ですよね。

古宮:30分切りました。

- (笑)。それは意識してなんですか?

古宮:いや、意識して…ではないんだけど。でも多分編曲する際に無駄なものは全部省いてしまおうって思ってるから、最初の段階で短くしようって意思の方が強いかもしれないですね。

- あっという間に聴き終わるし、曲順も聴き易いので、ずっとリピートして聞いてました。

古宮:曲順は拘ってますね。前に誰かが言ってたけど、今は配信とかで買って聴くから、そこまで曲順に拘らないって。でもマスタリングする時に曲間の秒数とかも気になるんですよ。0.1秒速くしてとか。でもそんなに拘る人いないよって前の作品の時に言われて。そこは凄く気にしてる。元々凄い神経質なんです。

- 先程クォーターくらいって仰ってたので(笑)、あれ?って思うのですけど、アルバム聴いたりライブを見ていると凄く歌い手さんっていうか、そういう印象だったんですよね。その直接的に届く歌を歌える人っていうか。

古宮:あぁー、じゃあ違うかも。自分の思ってるボーカルってものが4分の1なんですけど、小山さんの思っている人間の部分が違うのかも。普段もボーカルなのかもしれない、小山さんが思っているところでは。だから最近はサックス吹いた時と同じように歌えるようになってきて、これまでは話してるのと一緒で、歌おうっていうのは全く無くて、ただ喋ってるのと一緒でやってたんですよ。ソロの時だと自然と出来てたんだけど、バンドだとうるさいじゃないですか。もっと大きい声でワーって言わないといけなかったりして、結構無理してたところがあって。それが今は消えてきて、ボーカルってものが楽器みたいになってきて。気持ちはもちろんあるんだけど、別のものとして出来るようになってきた。

- なるほど。

古宮:ここ3回位だから。やっと始まりましたね。もう32歳だけど。スロースターター(笑)。

- でもちょうどバンドの状態もいい時ですしね。

古宮:うん。そんなもんなんだと思いますよ。やっと始まった感じ。それまでは準備っていうか、何やってるのか自分でも分からない感じだったから。これからなんじゃないですかね。ずっと喋った方が早いじゃんって思ってた。ソロだと喋ってるように出来るから。今は楽器があって、このバンドだから出来ることがあるってわかってきた。例えばライブハウスで、喧嘩になったとか自分の手を切ったとかっていうバンドがいて、ライブ終わって凄いとかなったとしても、絶対そのライブハウスの外の道でやった方が凄いじゃないですか。その時点でライブハウスって場所が一個の行為が落ちてるんですよ。ショウになっちゃうから。そこでやんない方がいいのにって思ってた。守られてるっていうか。だからバンドを軽蔑してましたね。

- それが変わったって凄いことですね。

古宮:なんかね、その全部より大きなものが見えてきた。他のバンドとか関係ない、自分達とは全く違うものだからって。違うことをしている感じがしますね。ロックンロールをしてるとも思ってないし、ロックンロールを知ってるとも思わない。ただ歌が歌えるから。例えば小山さんが歌が出来たら自然と歌うんですよ。で、どこで歌うの?なって、多分ライブハウスに辿り着いて、そしたらバンドがいたりミュージシャンがいるから、そこの括りの中に入れられて。元々この人達は関係なくて、もし凄く名が知れてて沢山お客さんが聴きに来るんだったらワンマンしかしないし。だから有名になりたいですね(笑)。

- (笑)

古宮:そもそもそこが違うんだと思う。音楽が好きで音楽をやっているわけじゃない。音楽聞かないし、タワレコとかも行かないし。ちょっと違うのかもしれない、音楽好きでやっている人とは。それのせいで10年間わけ分かんなかったんだと思う。今やっと分かってきた。

- なるほど。改めて、今回出来たものを聞いてみていかがですか?

古宮:自分達の思ったものが出来ました。だから、俺達がスタジオで作ったまんまになった。それよりも良くもないし悪くもないし。誰かが開発した色んなものを通してやっているから、そのままって難しいけど、でもそれが出来たんじゃないかなぁ。自分がスタジオやライブで体感してる音がCDになったから。

- タイトルは『17』の歌詞からですが、これは?

古宮:どうしてなんだろう。でもどれか1曲のタイトルをつけると、その曲が偉そうになるのでそれは嫌でしたね。かといってこの10曲が合わさって関係ないタイトルをつけるのも、僕のレテパシーズ1とかもなと思っていて、でもタイトルはつけなくちゃいけないから。一番ピンと来たものにしたんじゃないかな。

- アルバムの曲のMVも沢山作っていますよね?

古宮:そうですね。『君とスピッツ』と『プレスカブのスピードで』以外は作ることになりました。このままただ出しても売れる枚数って予想つくから、ちょっとでも売れる可能性が広がるように作ってる。

- 1曲でもYouTubeとかで見て引っかかってくれたらってことですね。アニメーションのは別として、アイデアは古宮さんが?

古宮:今出ているのは大体俺が考えて、撮影日を決めてカメラの人に来てもらってやりだすんだけど、全然イメージと違くなって、結局その場でこうしてこうしてってやってますね。ただ一個あるのは、CDが自分達より良くもなってない悪くもなってないっていうのが自分は大事だと思っていて、その歌の邪魔にはならないようにしたいなって。だから多少遠慮はしてます。映像を作る人とは全く違うから、曲を紹介する意味で作ってる。CMです。





- 最後にライブのお話を。さっき出来ればワンマンの方がって仰ってましたが、今回5/31のninohiraでは3マンでライブをして頂くので、対バンライブの時はどんな気持ちか伺っても良いですか?

古宮:前はやりづらいなとか、色々思うことはあって。例えば自分のこと好きだとか言ってくれる人がいて、その後自分が良くないなって思うバンドが出ていて、それに拍手とか感動してると、わかんなくなっちゃうことがあったりして。

- これとこれを同時に好きなのかっていう?

古宮:うん、何で俺のこと好きなんだろうって。思ったりもしたんですけど、今は…道端でやってるつもりではいる。他の人を見に来てるからわかんないだろうなっていうのはやめて、歩いてる人達に聴いてもらってる感じになってきてるかな。それが出来てるかっていうのはわからないけど。僕らを見て「ロックですね!」とか言う人がいたりするんですね。それはその人がロックンロールが好きで、その思ってるものに何かかすってるんでしょう?それはそれでいいですよ。でも最近見えてきたのは、そういうのは関係なくて、そこで語られたりすることは一生あることだし避けれないことだと思うけど、もっとその先の、言葉にすると明確にあるのは愛だと思ってるんだけど、ロックがどうこうとかはもっと前の話なんですよ。だからその人がわかっていてもなくても、そこさえ感じてもらえていれば、手前のところは気にしないようにしたいなって。

- 最終的にそこに辿り着ければいいってことですか?

古宮:そうそう。

- 古宮さんは弾き語りから始まり、バンドもメンバー交代などありつつも、今こうして15年歌っているわけですが、やはりこれからも変わらず歌うことは続けていきますか?

古宮:それはそうですね。結果もしこのバンドが終わって、その後に1本もライブがなかったとしても、辞めたって気はない。やるやらないじゃないから。辞めるっていうのはない。やってるっていうのもないから。

- あぁなるほど、そういうことなんですね。僕のレテパシーズとしての今後の野望は7枚アルバムを出すと。

古宮:うーん、7枚って言ってるけど、どうなるか(笑)。

- (笑)

古宮:バンドも難しいですからね。でもCD、形にはしたいかな。書いたことないけど、遺書とかに近いんじゃないですか。

- はい、この後も新しい作品が聴けることを楽しみにしています。本日は長いお時間ありがとうございました!



  【僕のレテパシーズ出演】
ninohira042 
2015/5/31(日)@新宿・レッドクロス
OPEN 17:30 ・ START 18:00
ADV.¥2500 /DOOR.¥3000  [※1D別]

LIVE:
僕のレテパシーズ/ワンダフルボーイズ/the coopeez
※チケット:ninohira@hotmail.comにて受付中


CD情報     2015/6/3 release!!! 
僕のレテパシーズ僕を殺せるのは僕だけさ
収録曲   (全10曲 / 2,160円(税込))
1. 17
2. ロックンロールじゃ踊れない
3. ロマンチック
4. プレスカブのスピードで
5. 精神障害者は天使 ちほう老人は神様
6. 君とスピッツ
7. 君しかいない
8. やさしい人
9. 海へ行こうよ
10. 愛は風景

OTOTOYにて先行配信中http://ototoy.jp/_/default/a/115639

【ライブ情報】
僕のレテパシーズ1stアルバム「僕を殺せるのは僕だけさ」レコ発ワンマン!
6/28(sun)@新宿marble
open 19:00/start 20:00
前売2000円/当日2500円(1D別)
出演:僕のレテパシーズ


その他詳細は
僕のレテパシーズオフィシャルHPまで
http://retepa.com